分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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マイクロカラム液体クロマトグラフィーにおけるガス圧を利用する階段状勾配溶離のための送液システムの開発
竹内 豊英Lee Wah LIM
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2001 年 50 巻 12 号 p. 825-828

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抄録

マイクロカラム液体クロマトグラフィーにおいて, ガス圧を利用した階段状勾配溶離のための送液システムの開発を行った. システムは, ガスボンベ, 六方選択切替バルブ, インジェクター又はプレカラム濃縮システム, 分離カラム, UV検出器及び1台のシリンジポンプから構成されている. 移動相は, ガス圧によって圧送され, 検出器下流側に設置されたシリンジポンプにカラム溶出液が導入される. カラム入り口圧力は, 設定流量に必要な圧力を超える値に保たれ, 検出器下流側のシリンジポンプの吸引速度が本システムの流量となる. 六方選択バルブにはループが取り付けられ, ループにはあらかじめ組成の異なる移動相が満たされている. その結果, バルブを切り替えることによってアルゴンガス加圧下で瞬時にループ内の組成の異なる移動相を分離カラムに供給することができる. 本方式は, 移動相組成の変化やカラム透過性の経時変化の影響を受けることなく一定流量を保つことができる. 単一溶媒溶離並びに階段状勾配溶離による試料成分の保持時間の再現性は, 相対標準偏差として0.4~0.6%となった. 開発したシステムは, フタル酸エステル及びアルキルベンゼンの階段状勾配溶離に応用することができた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2001
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