分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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オフラインリアクターとしてのミニカラムを用いる総遊離カテコールアミン測定法の開発
河本 裕子野崎 修
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2002 年 51 巻 6 号 p. 415-421

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抄録

オフラインリアクターとしてのミニカラムを用いた総遊離カテコールアミン (CA: 遊離アドレナリン+ノルアドレナリン+ドーパミン) の迅速高感度測定法を開発した. 臨床測定ではCA由来疾患の診断・経過観察用にはCA類の分離測定が一般的であるが, 測定に時間がかかる問題がある. そこで, より迅速で, しかも特異性の高い総CA測定法が必要とされている. 本法の原理は, CAの認識特異性を高めるために, CAの2官能基 (アミノ基とカテコール基) 同時認識法を用いた. すなわち, オフラインでのミニカラムの充填ゲル (スルホン酸基導入) にCAのアミノ基を結合し, 次にゲルに結合したCAのカテコール基とイミダゾール (pH7.8) の固液反応 (60℃, 30分加熱) から, 生成した過酸化水素を測定した. ミニカラムに充填するゲルは, CAの抽出及び過酸化水素の固相生成に影響を及ぼすので, そのゲルの官能基の種類と基材の組み合わせを検討したところ, 官能基にはベンゼンスルホン酸基あるいはスルホン酸基を有し, 基材はガラスあるいはポリスチレン製のものが適していた. 固液反応で生成した過酸化水素のミニカラムからの迅速な溶出には, ゲルは無孔性で, 溶離液にはイミダゾール溶液 (1.0mol/l) が適していた. その溶出過酸化水素は, マイクロフローインジェクションーペルオキシダーゼ触媒ルミノール化学発光法で測定した. オフラインリアクター内での各ドパミン量 (1.63~8.15nmol) からの過酸化水素生成率は, それぞれ47~69% (平均56.8%) であった. CAの定量測定用の検量線は, ドーパミンの外標準法で作成した (回帰式Y=2.04X2+12.4X-16.8; Y: 発光強度, X: ドーパミン量, 1.63~8.15nmol). 本法は迅速であり, 臨床応用が可能である.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2002
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