2002 年 51 巻 6 号 p. 429-435
採取したヒト汗中に存在する乳酸, 尿酸, キサンチン, チロシンをHPLCで測定する方法を確立した. これらの化学物質は臨床的に有用なマーカーでもある. 汗の採取はバイアルを用いて指先から行い, 短時間に簡便に採集できた. すなわち1%アルコール水溶液40μlを0.6mlのバイアルに入れた後, 指にコンタクトさせて5分間汗を採集した. 同時に発汗量を反対の手の同じ位置で測定した. 8人の若い被験者の汗中の乳酸, 尿酸, キサンチン, チロシンの各濃度はそれぞれ154mM, 150μM, 225μM, 2.25mMであった. ワインの経口摂取による汗成分の経時変化を調べた. 汗の発汗量はワインの摂取前後でほぼ変化なかったが, ワイン成分中に含まれる乳酸は25~45分後最大値を示した. 汗中の乳酸は末梢血管からきていると推測される.