分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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緑茶飲料中カテキン類のCYP3A4による代謝系への阻害効果の解析
中村 拓己浅田 絵美永田 佳子金澤 秀子
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2003 年 52 巻 9 号 p. 769-773

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抄録

市販品の緑茶中の主要成分であるカテキン類は,その製茶工程あるいは殺菌工程で熱異性化が起こることが知られており,緑茶カテキン類のうち含有量の最も多いとされているエピガロカテキンガレート(EGCG)は,ペットボトル飲料においては,その熱異性化体であるガロカテキンガレート(GCG)とほぼ1 : 1の割合で存在していた.また,抽出温度を変化させた実験から,緑茶はおよそ80℃ 付近から,熱異性化が起こり,抽出温度が98℃ となるとEGCGの熱異性化は更に進むことが確認された.更に,これらカテキン類のシトクロームP450(CYP)3A4代謝系に対する活性について検討した結果,構造中にガレートを有するカテキン類であるEGCG,GCG,エピカテキンガレート(ECG)のほうがガレート構造を持たないカテキン類と比較して阻害効果が大きいことが明らかとなった.したがって,CYP3A4代謝系に対するカテキン類の阻害効果は,ガレート構造の有無により大きく影響されることが示唆された.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2003
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