分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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鉛同位体比測定のための誘導結合プラズマイオントラップ質量分析法の評価
西村 康宏大畑 昌輝古田 直紀鍋島 貴之
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2004 年 53 巻 6 号 p. 527-532

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抄録
イオントラップ型である三次元四重極質量分析計(3DQMS)を有する誘導結合プラズマ(ICP)-3DQMSを用いた鉛同位体比測定について検討した.従来型の四重極質量分析計(QMS)を用いた鉛同位体比精度は約0.3% であり,これ以上精度が良くならない原因として主に考えられるのは,イオン源であるICPによる変動と,質量の異なるイオンを四重極質量分析計で高速に走査して単一の検出器にて逐次的に検出している(同時検出ではない)ことである.本研究で使用したICP-3DQMSは,質量の異なるイオンを特定の空間に同時に閉じ込め,検出することができるため,0.1% 以下(約0.08%)の高精度な鉛同位体比測定を行えることが評価された.また,鉛同位体比測定における鉛同位体比の変化は,測定された鉛同位体スペクトルの形状に大きく影響を受け,これは3DQMS内部に閉じ込められるイオンの総数に依存すると評価された.
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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2004
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