分析化学
Print ISSN : 0525-1931
53 巻, 6 号
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総合論文
  • 清 悦久, 敷井 和彰, 坂本 茂, 國村 美希, 小林 達次, 関 宏子, 田代 充, 藤田 誠, 山口 健太郎
    2004 年 53 巻 6 号 p. 457-474
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    質量分析においてコールドスプレーイオン化法(cold-spray ionization,CSI)を開発した.この手法は類似の手法である従来のエレクトロスプレーイオン化法(electrospray ionization,ESI)に比べ,スプレー等を冷却するため不安定な種の溶液中での構造解析に適している.この手法を用いて不安定反応試薬や中間体,そして不斉触媒や超分子,更に生体分子等の溶液での構造解析を行った.また,本手法や核磁気共鳴法等によりステロイド類が分子間水素結合に基づき希薄溶液中で大きな会合体を形成することを確認し,結晶構造に見られる水素結合による結晶連鎖構造が溶液中において一部保存されていることを示した.また,本手法をDNA,アミノ酸,糖類及び脂質類等の生体基本分子に適用し,これらの溶液中での非共有結合性相互作用に基づく会合体を観測した.本稿ではCSIの原理,そして不安定有機化合物やタンパク質を含む生体分子など広範囲にわたる溶液構造解析について記述する.
  • 塩川 善郎, 中村 恵, 丸山 はる美, 平野 芳樹, 種田 康之, 井上 雅子, 藤井 敏博
    2004 年 53 巻 6 号 p. 475-489
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    有機成分をフラグメントフリーで計測できるイオン付着質量分析法について総合的に報告した.まず,装置の説明とLi付着によるイオン化メカニズムを考察した後,計測特性について詳述し,検出限界1 v/v ppb•10-16 mol/s以下,リニアリティ6けた以上などが示されている.次に,特長となっている直接導入による熱不安定物質・熱分解ガス・排ガス・中性活性種あるいは同族体・金属錯体などへの応用例を紹介した.また,低圧・小流量・高速応答により真空プロセスやガスクロマトグラフ(GC)結合に好適な新機種の装置と応用例が示されている.最後に,今後の新展開として,検出限界や装置サイズなどの技術課題とその対策案,及びこれらの達成時に期待される“ダイレクト&リアルタイムGC/MS”とも言うべき前処理なし・GCなしの直接測定・現場測定などの新展開について述べた.
  • 平田 岳史, 浅田 陽一, TUNHENG Apinya, 大野 剛, 飯塚 毅, 早野 由美子, 谷水 雅治, 折橋 裕二
    2004 年 53 巻 6 号 p. 491-501
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    誘導結合プラズマ(ICP)質量分析法は,迅速かつ高感度な元素分析装置として,地球科学的試料の化学にはなくてはならない分析法となっている.特にレーザーアブレーション試料導入法は,固体試料の直接分析が可能な上,レーザービームを絞り込むことにより局所分析も可能であり,更にICP質量分析法の最大の特徴である分析の迅速性を最大限に引き出すことができる優れた試料導入法として注目されている.レーザーアブレーション法において正確な元素分析,同位体分析を行うためには,感度の向上,レーザーサンプリング時における元素分別の低減,信号強度の安定化,妨害信号の除去,イオン検出器の感応性の改良などが不可欠である.そこで著者らは,分析感度を向上するために窒素混合法を,またレーザーサンプリング時における元素分別を低減法するためにソフトアブレーション法あるいは化学支援レーザーアブレーション法を,そして信号強度を安定化する手法としてスタビライザー法を,更にイオン検出器の感応性の違いに起因する同位体分析精度の低下を抑える検出器補正法や,スペクトル干渉を低減するための低出力プラズマ法などを開発してきた.本稿では,これらの手法の動作原理の解説と,得られる効果を紹介する.
  • 高橋 元幾, 李 展平, 関谷 美矢子, 廣川 吉之助
    2004 年 53 巻 6 号 p. 503-518
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    Ga一次イオン飛行時間型質量分析法における金属,無機化合物そして有機化合物表面からのフラグメントパターン出現の規則性を検討している.金属表面からのフラグメントパターンはGa一次イオン照射,粒子放出の間に金属がGaと合金生成を行っている可能性があることを示している.無機化合物の場合,表面原子の化学結合に関する下記のフラグメントパターン出現規則性が提案できる.無機化合物M-Aに対し,電気陰性度の値が小さい正イオンMの酸化数を+n,電気陰性度の値が大きい負イオンのそれを-p,そして出現フラグメントの化学式をMxAyとすると,正イオンフラグメント群はnx ≥ (py+1),負イオンフラグメント群はnx ≤ (py+1) の規則性を満足している.かなりの数の有機化合物においては,化合物を構成する官能基中,原子間の解離・結合エネルギーに注目することにより,出現フラグメント群の構造予測が可能である.
  • 平川 靖之, 清水 正和, 升島 努
    2004 年 53 巻 6 号 p. 519-526
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    直接的な細胞分子解析を目的として,ビデオ顕微鏡と質量分析法を組み合わせた新しい分析法,ビデオマススコープの開発を行った.この手法を用いることで,ビデオ映像で細胞をリアルタイムで観察し,細胞に変化のあった瞬間の分子動態を質量分析を駆使して追うことが可能になる.実験では,まず多細胞を用いてビデオマススコープが機能することを確認した後に,マトリックス支援レーザー脱離イオン化法を用いてビデオマススコープの1細胞解析への適用を試みた.その結果,ほ(哺)乳類の細胞としては初めて1細胞解析を行うことが可能になった.様々な条件の最適化を進めることで,ビデオマススコープは医療・製薬を含むバイオ関連分野での強力な解析ツールになり得る潜在能力があることを示すことができた.
報文
  • 西村 康宏, 大畑 昌輝, 古田 直紀, 鍋島 貴之
    2004 年 53 巻 6 号 p. 527-532
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    イオントラップ型である三次元四重極質量分析計(3DQMS)を有する誘導結合プラズマ(ICP)-3DQMSを用いた鉛同位体比測定について検討した.従来型の四重極質量分析計(QMS)を用いた鉛同位体比精度は約0.3% であり,これ以上精度が良くならない原因として主に考えられるのは,イオン源であるICPによる変動と,質量の異なるイオンを四重極質量分析計で高速に走査して単一の検出器にて逐次的に検出している(同時検出ではない)ことである.本研究で使用したICP-3DQMSは,質量の異なるイオンを特定の空間に同時に閉じ込め,検出することができるため,0.1% 以下(約0.08%)の高精度な鉛同位体比測定を行えることが評価された.また,鉛同位体比測定における鉛同位体比の変化は,測定された鉛同位体スペクトルの形状に大きく影響を受け,これは3DQMS内部に閉じ込められるイオンの総数に依存すると評価された.
  • 西村 一彦, 鈴木 敏之, 桂 英二, 板橋 豊
    2004 年 53 巻 6 号 p. 533-539
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による脂肪酸の組成分析には,オンライン質量分析(HPLC/MS)が有効であると考えられるが,これまでほとんど検討されていない.本研究では,脂肪酸のHPLC分析に広く用いられている9-アンスリルメチルエステル(通称ADAM)誘導体の逆相HPLC/MSによる分析法を検討した.負イオンモードのエレクトロスプレーイオン化(ESI)MSでは,ADAM誘導体に由来するイオンは観察されなかったが,正イオンモードでは分析したすべての脂肪酸のADAM誘導体から,[M+Na](ベースピーク)と [M-RCOO]m/z 191,相対強度15%)の両イオンが検出された.これらのイオンを用いる選択イオン検出(SIM)では,0.1 ngの脂肪酸混合物(ADAM誘導体)をHPLCカラムに注入した場合でもS/N比5以上で個々の成分を検出することが可能であった.一方,大気圧化学イオン化法(APCI/MS)では,正イオンモードで [M-RCOO]m/z 191)が,負イオンモードでは [RCOO]がそれぞれベースピークとして検出された.これらの結果から,ESIとAPCIを用いるHPLC/MS法は,共に脂肪酸ADAM誘導体の同定に有効であることが明らかとなった.HPLC/ESI-MS法を実試料(ミンククジラのベーコンから得た脂肪酸混合物)の組成分析に適用した結果,蛍光検出HPLCとHPLC/MSで求めた各成分のピーク面積% はおおむね一致したことから,脂肪酸ADAM誘導体の逆相HPLC/MSは成分の同定ばかりでなく,組成分析法としても有用であることが認められた.
  • 植村 誠治, 阿部 一之, 荒川 隆一
    2004 年 53 巻 6 号 p. 541-546
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    超臨界反応による1,3-butadiene diepoxide(BDE)から1,3-butadiene dicarbonate(BDC)へのCO2導入反応を行った.エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI-MS)により,反応生成物はアルカリ金属付加イオンとして検出できた.アルカリ金属塩の触媒効果を測定し,NaIが最も高い触媒活性を示した.その触媒の効果は,アルカリ金属原子とハロゲン原子のイオン半径差,又はハロゲンの電気陰性度の差に依存していること分かった.これらBDCなどのカーボネート化合物の分析にESI-MSが有効であることが分かった.
  • 山口 正史, 溝奥 康夫, 大堺 利行, 紀本 岳志, 荒川 隆一
    2004 年 53 巻 6 号 p. 547-553
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    最近,緑茶などに多く含まれるカテキン類が優れた抗酸化作用を示すことで注目されている.しかし,カテキン類の酸化過程については十分に明らかにされていない.マイクロ流量の電解フローセルとエレクトロスプレーイオン化質量分析計をオンラインで組み合わせたelectrochemistry/electrospray ionization mass spectrometry(EC/ESI-MS)法を用いることで,電気化学的酸化によるカテキン類の反応生成物を調べた.(-)-epicatechin gallate,(-)-epigallocatechin,(-)-epigallocatechin gallateでは,酸化生成物の2量体に関連したピークが検出された.抗酸化物の酸化過程の研究においてEC/ESI-MS法が有効な手段であることを確認できた.
  • 大本 将義, 奥野 昌二, 荒川 隆一
    2004 年 53 巻 6 号 p. 555-560
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI-MS)法とポストソース分解(PSD)法により,600から4000の異なる分子量分布の界面活性剤ノニルフェノールポリエトキシレートの構造解析を行った.MALDIスペクトルからノニルフェノールポリエトキシレートは,(-CH2CH2O-)の繰り返し単位を持つイオン群として検出された.また,不純物として少量存在するオクチルとデシルフェノールポリエトキシレートを検出した.MALDIから得られた数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーの値とほぼ同じであった.アルカリ金属イオンのカチオン化剤の影響を調べた結果,MALDI測定にはNa付加がよく,PSD測定ではLi付加イオンが最も感度よくフラグメントイオンを生成することが分かった.PSDの測定結果は,ノニルフェノール末端部位にC6H13- のアルキル鎖を有することを支持している.
  • 田中 美穂
    2004 年 53 巻 6 号 p. 561-567
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    多様に展開する質量分析計の中から,溶液中に存在する溶解化学種をあるがままに同定する方法として,高速原子衝撃質量分析(FAB-MS)法を用いた測定法を開発した.本論文では,溶液中に溶存する化学種を測定するために,塩溶液中に溶解するシリカ化学種を測定する方法とそれを採用するに至った過程とその問題点を示す.更に,シリカの濃度が比較的高い,深層海水を対象として,海水中のシリカ化学種をFAB-MSを用いて測定する方法について検討し,その同定結果を示した.海水に溶存するシリカは,単量体から6量体まで存在し,直鎖状4量体,5量体,6量体と環状4量体,5量体,6量体,各シラノール基のナトリウムイオン,カルシウムイオン,カリウムイオン置換体が存在することを確認した.海水塊のキャラクタリゼーションをシリカ溶存化学種の存在度を基に行う試みとして,シリカ化学種の中でも特徴的な直鎖4量体と環状4量体のピーク強度比(すなわち相対存在度)を基に,単純な塩溶液と海水のシリカの化学種の比を比較し,化学種解析の環境分析への発展性を検討した.
技術論文
  • 伊藤 真二, 山口 仁志, 保母 敏行, 小林 剛
    2004 年 53 巻 6 号 p. 569-574
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    Mg合金分析にグロー放電質量分析法(GDMS)の適用を検討した.グロー放電の最適放電パラメーターを調べ,1 kV-2 mAを選択した.各元素のMgに対する相対感度係数(RSF)値は市販のMg合金標準試料6種を測定し,求めた.各元素の測定同位体について,マトリックス元素及び放電ガスにかかわるスペクトル干渉を詳細に調べ,決定した.本研究で得られたRSF値と文献値から求めた値と比較したところ,Ca,Ni,Ag及びThでは大きく異なった.また,検出器の感度差も確認した.実試料の高純度マグネシウムのGDMS定量値は化学分析値とよく一致し,その分析精度は相対標準偏差として,少量成分で約2%,mass ppmレベルで10数% 程度であった.
  • 雲岡 義雄
    2004 年 53 巻 6 号 p. 575-579
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH),水酸化トリメチルスルホニウム(TMSH),水酸化トリメチル(α,α,α-トリフロロ-m-トリル)アンモニウム(TMTFTH)及び酢酸テトラメチルアンモニウム(TMAAc)の4種類のメチル化試薬について,ロジングリセロールエステル(RG)の反応熱分解ガスクロマトグラフィー/質量分析法(反応Py-GC/MS)による分析を行った.RGのTMAHを用いた反応Py-GC/MSは,350℃ 以上の熱分解温度が有効であった.TMSH,TMTFTH及びTMAAcはあまり効果的ではなかった.粘着剤について,TMAHを用いた反応Py-GC/MSの応用例を示した.
  • 門上 希和夫, 棚田 京子, 種田 克行, 中川 勝博
    2004 年 53 巻 6 号 p. 581-588
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    環境や食品中の有害化学物質を一斉分析するための新しいガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)用データベースを開発した.本データベースには,マススペクトルのほかにGC保持時間情報と検量線情報が登録され,試料中の登録物質を1時間以内にすべて同定・定量できる.n-アルカンを保持指標物質として,同一のGC条件下では,試料測定時での登録物質の保持時間を±3秒以内の誤差で予測し,確実な同定ができた.また,異なる昇温条件やキャリヤーガス線速度でも,予測保持時間±1% の範囲に登録物質が出現した.定量では,装置性能評価標準物質を用いてGC注入口やカラム及びチューニング条件を調整することにより,ペンタクロロフェノールなどの非常に吸着しやすい一部の高極性物質を除き,測定値の相対標準偏差は20% 以下であった.感度の面では,登録物質の90% 以上が100 pg以下で検出可能であり,実用上十分な感度であった.以上から,本データベースを用いることにより,標準物質を測定することなく,1000種以上の有害化学物質の迅速分析が可能であり,環境や食品中の化学物質の安全性評価に適用できる.
ノート
  • 篠原 厚子, 千葉 百子, 近藤 雅雄, ABOU-AHAKRA Fadi R., WALKER Heather, 小林 恭子, 稲葉 裕
    2004 年 53 巻 6 号 p. 589-593
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    The analytical conditions for the simultaneous determination of arsenic(As) compounds in human urine were examined using high-performance liquid chromatography (HPLC) with an ion-exchange column combined with a hexapole collision cell inductively coupled plasma mass spectrometer. The addition of 0.1 mM EDTA to the mobile phase of HPLC (a mixture of 10 mM NH4NO3 and 0.05% HNO3, pH 3.1) was necessary for good reproducibility of the peaks. The five As species {As(V), monomethylarsonic (MMA), dimethylarsinic (DMA), As(III), and arsenobetain (AB)} were separated within 14 min, however, arsenocholine(AC), trimethylarsine oxide (TMAO) and tetramethylarsonium (TeMA) were not individually separated but eluted together at about 40 min of retention time. This method was applied to urine samples from 8 male Japanese. Although As(V), MMA, DMA, and AB were detected in all urine samples, the relative amounts of these compounds were different depending on the person. The order of concentrations of arsenic compounds in urine from 4 person were AB>DMA>MMA>As(V), but those in the other samples were AB = DMA or AB<DMA, suggesting the individual difference in the eating habits of sea foods.
  • 寺田 賢, 篠塚 達雄, 田中 栄之介, 林 剛史, 本田 克也, 的場 梁次, 黒崎 久仁彦
    2004 年 53 巻 6 号 p. 595-601
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    In this study, we considered a sensitive method for the determination of triazolam from forensic case samples using gas chromatography tandem mass spectrometry. The discrimination of the etizolam and triazolam mixture was usually very difficult because of the same molecular weight and similar mass spectra. However, both drugs were identified by GC/NICI/ion trap tandem mass spectrometry. The detection limits of GC/NICI/ion trap tandem mass spectrometry for triazolam from serum and urine were ca. 2 ng/ml and 1 ng/ml, respectively. The determination of triazolam in human serum and urine by GC/NICI/ion trap tandem mass spectrometry provided a highly sensitive and high-specificity method. It is expected that this method will be applicable to the determination of drugs in forensic biological materials.
  • 孫 麗偉, 佐藤 浩昭, 鳥村 政基, 田尾 博明, 新谷 智吉
    2004 年 53 巻 6 号 p. 603-608
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    Matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry (MALDI-MS) was applied to the rapid discrimination of four lactic acid bacteria (Lactobacillus acidophilus, Lactococcus lactis subsp. hordniae, and two strains of Lc. lactis subsp. lactis). Specific biomarker peaks generated from intact bacteria cell were observed on the mass spectra over the range m/z 4000∼12000. High reproducibility for the relative peak intensities between three culture plates under the same experimental conditions was confirmed by analysis of variance (ANOVA). The growth temperature strongly affected the peak distribution of the biomarkers, whereas the difference in the culture media (MRS and LB media) gave similar mass spectra. Under the optimized conditions, four lactic acid bacteria with different genus, species, or strains could be discriminated.
  • 佐藤 浩昭, 大谷 肇, 柘植 新, 津田 五輪夫, 末友 茂
    2004 年 53 巻 6 号 p. 609-613
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/13
    ジャーナル フリー
    Matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry (MALDI-MS) was applied to the structural characterization of rosin-glycerin ester and rosin-resol resin reactant as the model compounds of rosin-modified phenol resin. As for the rosin-glycerin ester sample, sodium cationized di- and triglycerides of the rosin acids were mainly observed as major products, whereas those of monoglycerides were scarcely observed on the MALDI mass spectrum. Considering the isotope distribution, the composition of the rosin acid in the glyceride was estimated as abietic acid/dehydroabietic acid = ca. 70/30, whereas that in the original rosin acid was ca. 95/5. This fact demonstrated that a considerable amount of abietic acid was transformed to the dehydroabietic acid structure. On the other hand, as for the rosin-phenol resin reactant sample, resol resin oligomers having rosin acids at both terminals were observed as the main components in the range of the degree of polymelyzation n = 1 to 8, while those having a rosin acid at one terminal side were also observed as minor components mainly at a lower mass range under m/z 1000. Moreover, the detailed distribution among the observed ions suggested that the dehydration in the abietic acid also fairly took place during the reaction between the rosin acids and the resin.
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