分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
海洋プランクトンの加圧酸分解と微量元素定量
海老原 昇小倉 久子内田 哲男小熊 幸一
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2006 年 55 巻 11 号 p. 855-861

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抄録

海洋性プランクトン中の微量元素を定量するため,加圧分解容器を用いる簡易全分解法を開発した.プランクトンをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターでA過し,ギ酸アンモニウム溶液で洗浄した.プランクトンが付着したフィルターを乾燥,ひょう量してからPTFE製分解容器に入れ,適量の硝酸,過塩素酸,フッ化水素酸を添加した.密閉したPTFE容器をステンレス製ジャケットに入れ,乾燥器中で加温した.分解した試料を蒸発乾固し,残留物を希塩酸溶液としてから誘導結合プラズマ原子発光分析法により金属元素を定量した.プランクトンのA過時にエタノールで洗浄すると体内物質が溶出し,外骨格中の微量元素を定量するための試料が得られた.東京湾で赤潮発生時に採取したプランクトンは,海水中の濃度に比較して104から106倍の鉄,アルミニウム,チタン,マンガン,亜鉛,銅,クロムを含有していた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2006
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