分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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阿蘇山及び熊本市における大気中二酸化硫黄及び硫化水素の長期モニタリングとモバイル調査
大平 慎一Md. Abul Kalam AZAD倉岡 里佳田中 孝佳森 功太郎戸田 敬
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2006 年 55 巻 2 号 p. 109-115

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抄録

フロー分析の大気成分測定への応用について,長期にわたる連続分析を通しその実用性や信頼性に関する評価検討を行った.分析システムは,多孔性メンブランチューブから成る拡散スクラバーにガス捕集反応溶液を連続的に通じ,下流の検出器で大気中の二酸化硫黄及び硫化水素を同時測定するものである.本分析システムを阿蘇山と熊本市の2箇所に設置し,2年半にわたって分析を続けた.熊本市では,SO2とH2Sの日変化は逆転する傾向があった.これに対し,阿蘇でのガス濃度は火山活動の影響を強く受け,活動の活発な時期にSO2濃度が高くなるとともにSO2/H2S濃度比も大きく上昇した.更に本システムをポータブル分析計として活用し,阿蘇火口周囲での測定を5回にわたり行い,ガスの分布や存在比に関する知見を得た.また,火口壁近傍では,3~4けたのガス濃度変化が短い時間で起こっていることも観測された.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2006
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