分析化学
Print ISSN : 0525-1931
年間特集「水」:総合論文
電荷移動型蛍光色素アニリノナフタレンスルホン酸を利用した水のミクロ物性評価
染谷 悠由井 宏治
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2011 年 60 巻 1 号 p. 11-18

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抄録

電荷移動型蛍光色素の一つであるアニリノナフタレンスルホン酸(ANS)は,その蛍光特性がANSの周辺環境により劇的に変化するため,蛍光プローブ分子として水のミクロ物性評価に用いられる.例えばANSは,純水中に比べ疎水環境下におかれるとその蛍光強度が著しく増大するため,この性質を利用した疎水性プローブ分子として広く利用されてきた.近年では,蛍光波長の溶媒極性依存性からミクロ極性プローブとしての応用もなされている.著者らは,ANS蛍光寿命と溶媒粘性の相関性を新たに見いだし,ANSのミクロ粘性プローブとしての利用を提案し,その応用を進めている.本稿では,ANSを用いた水のミクロ物性評価法として,従来にない蛍光寿命を利用したミクロ粘性プローブとしての応用を紹介する.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2011
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