分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
新規蛍光プローブの開発と速度論的特性を用いる高性能金属イオン分離分析システムの構築
齋藤 伸吾
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2011 年 60 巻 10 号 p. 773-784

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抄録

キャピラリー電気泳動-レーザー励起蛍光検出法(CE-LIF)に適した金属検出用蛍光配位子(プローブ)の開発と,その新規プローブを用いる高感度分離分析システムの構築を行った.まず,プローブの設計を行い,中心金属イオンと発光部位までの距離を変化させることで消光作用を制御した.また,分離場で解離しないような錯形成部位を探索した.次に,これらプローブに適した新規分離様式を開発した.一つはプローブ錯体に第二の錯形成試薬を添加し,生成する三元錯体の電荷を制御するものである.もう一つはポリカチオンの添加によりイオン会合複合体を形成させ,その分子形状によって高度な分離を達成するものである.構築した分析システムは,種々の金属イオンに対しサブnM以下の検出限界を有する.さらに,超高感度分析において問題となる汚染金属イオンに対し,速度論および平衡論を集積化した汚染封鎖法を開発し,汚染レベルを高度に制御した超高感度CE法を開発した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2011
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