分析化学
Print ISSN : 0525-1931
報文
液体クロマトグラフィー/質量分析法による健康食品中のα -リポ酸の光学異性体の定量分析
小林 由幸斉藤 貢一岩崎 雄介伊藤 里恵中澤 裕之
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 61 巻 2 号 p. 109-114

詳細
抄録

健康食品として使用されているα-リポ酸の光学異性体分離,定量を行うために,液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)によるα-リポ酸の高感度かつ選択的な測定法の構築を試みた.キラルカラムにCHIRALPAK AD-RHを用いることで,α-リポ酸の良好な光学異性体分離が達成された.前処理として液液分配抽出及び固相抽出を行うことによって,きょう雑物質を取り除くことができ,定量性が向上した.LC/MSによるα-リポ酸の検出限界及び定量限界は5 ng/mL及び10 ng/mLであった.α-リポ酸含有健康食品を分析した結果,d -α-リポ酸と表記されているのにもかかわらず,l -α-リポ酸が含有されている製品も確認され,不斉収率の不十分な不斉合成の原薬を用いたためl 体が混入した可能性や,製造の際にd 体がl 体に変換した可能性が示唆された.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry 2012
前の記事 次の記事
feedback
Top