分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
スプリット型プローブの協同的金属錯体形成を利用するDNAの認識及び検出
井原 敏博北村 裕介
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 61 巻 3 号 p. 193-206

詳細
抄録

DNAに金属配位基を共有結合で導入した種々のDNAコンジュゲートを調製した.これらDNAコンジュゲートは,共存する特定の金属イオンと錯生成し,その分子(DNA)認識能,及びその他の様々な性質を可逆的に変化させることができる.コンプレキサン型の配位子であるグルタミン酸,及びハードな配位子であるイミノ二酢酸を有するDNAコンジュゲートは,それぞれ銅イオン,及びハードなルイス酸である希土類金属イオン共存下二量体を形成し,C2対称な塩基配列を有する標的DNAにハイブリダイズして安定な三本鎖構造を形成することが分かった.EDTAと1,10-フェナンスロリンを導入したDNAコンジュゲートは,標的DNAにタンデムにハイブリダイズし,両配位子は互いに向かい合い,協同的に希土類金属の配位環境をつくる.この系にEu3+やTb3+を添加すると,発光性の錯体を形成することが明らかになった.発光強度は標的DNAの塩基配列に依存し,両金属を同時に用いると遺伝子混合物の同時多色アッセイが可能であることが示された.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry 2012
前の記事 次の記事
feedback
Top