分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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HPLC-ICPMSを用いたSpecies-unspecific及びSpecies-specific同位体希釈分析法によるセレンイースト標準物質中のセレノメチオニンの定量
山本 貴雄向井 達也鈴木 美成松川 岳久篠原 厚子古田 直紀
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2013 年 62 巻 8 号 p. 679-684

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抄録

セレンイースト標準物質(SELM-1, National Research Council of Canada製)中のセレノメチオニン(SeMet)の定量を行い,抽出手法の検討を行った.また高速液体クロマトグラフィーをオンラインで接続した誘導結合プラズマ三次元四重極質量分析計(HPLC-ICP3DQMS)を用いたspecies-unspecific及びspecies-specificな同位体希釈分析法(isotope dilution analysis, IDA)によりSELM-1中のSeMetの定量を行った.そして,結果を比較することで2種類のIDAの評価を行った.SeMetの抽出には,Lipase Type VII(Sigma Chemicals. St, Luis, MO, USA)及びProtease Type XIV(Sigma Chemicals, St. Luis, MO, USA)を用いて24時間酵素分解を行う方法が,適していることが確認された.ただし,前処理操作中にSeMetの分解が確認された.SELM-1中のSeMetの測定値は,species-unspecific IDAが3040±77 μg g-1,species-specific IDAが3154±82 μg g-1であり,保証値(3448±146 μg g-1)とそれぞれ4σ,2σ以内で一致したことから,安定同位体を濃縮した化合物が合成できる場合はspecies-specific IDAを用いる方がよいと結論づけた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2013
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