分析化学
Print ISSN : 0525-1931
報文
焼酎用酸度計の開発
小谷 明吉岡 千賀楠 文代
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 63 巻 1 号 p. 41-46

詳細
抄録

電流計測型の焼酎用酸度計として,キノンの還元前置波測定に基づく酸の定量法を利用した小型センサー(寸法は55(W)×31(D)×109(H)mm,質量は100 g)を開発した.作用電極,対極,参照電極の三極はplastic formed carbon(PFC)電極,容量1.0 mLの電解セルを検出部とした.酢酸とキノン試液[9 mM 3,5-ジ-tert-ブチル1,2-ベンゾキノン(DBBQ)と50 mM塩化ナトリウムを含むエタノール-水(9 : 1)混液]を混合した測定溶液につき,焼酎用酸度計を用いてボルタモグラムを測定したところ,酢酸由来のDBBQの還元前置波を得た.還元前置波のピーク高さは0.09~4.0 mMの範囲で良い直線性(r=0.999)を示し,焼酎酸度としての本酸度計の適用範囲は0.09~4.0であることが分かった.本酸度計における焼酎の必要試料量は0.55 mL,測定時間は30秒であった.12種類の市販の焼酎について,本法と公定法である中和滴定から得られた測定結果を比較したところ,両者はよく一致し,r=0.994の相関性が得られた.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry 2014
前の記事 次の記事
feedback
Top