分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
近赤外分光分析法による清酒のエタノール濃度分析と蒸留-振動式密度計測法との比較
緒方 研哉梶原 将
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2014 年 63 巻 1 号 p. 47-52

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抄録

これまで近赤外分光分析法による水溶液中のエタノール濃度の測定は可能であったが,酒類分析,特に清酒の分析では,清酒内の共存物の影響が大きく,この分析法によるエタノール濃度測定法の開発は遅れていた.最近になり近赤外領域の特定の波長を選択することにより近赤外分光分析法での清酒内エタノール濃度の測定法が開発され,迅速に清酒のエタノール濃度を測定することが可能となった.そこで近赤外分光分析法による清酒内エタノール濃度測定法で,実際の64種の各地の清酒内のエタノール濃度の測定を行った.13~18%(v/v)と表示された清酒では,従来法(蒸留─振動式密度計測法,D-OD法)と同様に表示のエタノール濃度と一致し,その測定値の標準偏差の大半は従来法よりも小さいことが分かった.また,本測定法は測定した地域や場所の影響はほとんど見られなかった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2014
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