分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
有機分子の分子内安定炭素同位体分布計測法の展開
山田 桂大Alexis GILBERT吉田 尚弘
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2014 年 63 巻 3 号 p. 195-203

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抄録

物質の起源や履歴を読み解くうえで,物質を構成する元素の安定同位体組成は非常に有効な情報源である.有機分子の安定炭素同位体組成に着目した場合,これまでは有機分子に含まれる炭素をすべて二酸化炭素に変換して計測を行ってきたため,得られる安定炭素同位体組成は分子全体の平均値であった.本来,有機分子のもつ起源や履歴情報は分子内の特定部位に存在する.したがって,分子が持つ起源・履歴情報を正確かつ鋭敏に読み取るには,分子内の特定位置における炭素同位体組成計測が必要である.しかしながら,計測の難しさから,分子内の炭素同位体組成計測は未発展である.本稿では,有機分子についての分子内炭素同位体分布の研究や計測法発展の歴史を含め,近年いくつかの分子に対して利用が可能となってきたオンライン熱分解とガスクロマトグラフィー/燃焼/同位体質量分析を組み合わせた分子内炭素同位体分布計測方法について現状を紹介する.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2014
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