分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
過マンガン酸カリウム含浸カラムを用いる環境水中ヒ素の簡易目視定量法
山田 順子管原 庄吾清家 泰奥村 稔
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2014 年 63 巻 8 号 p. 671-677

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抄録

環境水中のヒ素を水素化ヒ素として過マンガン酸カリウム含浸カラムに捕集し,マンガン(VII)の還元による色変化からヒ素を定量する簡便な目視定量法を開発した.カラムは,プラスチックカラムにシリカゲルを充填し,過マンガン酸カリウム溶液,空気を順次通して,調製した.このとき,カラム中のシリカゲルは,赤紫色になった.試料水40 mLにヨウ化カリウム,塩化スズ(II),亜鉛,6 M塩酸溶液を加えることにより,ヒ素(III)[亜ヒ酸]及びヒ素(V)[ヒ酸]を還元して水素化ヒ素を発生させた.発生した水素化ヒ素をカラムに通した.カラム中の過マンガン酸カリウム(赤紫色)は水素化ヒ素により還元され,二酸化マンガン(褐色)の発色帯が形成された.この発色帯の長さとヒ素濃度との間には良い直線関係が見られ,カラム中に形成した発色帯の長さから全無機態ヒ素濃度[ヒ素(III)+ヒ素(V)]を決定した.本法を高濃度の鉄(II)イオンを含む温泉水に適用した.ヒ素が生じた水酸化鉄(III)沈殿により吸着・共沈され,温泉水から除去される現象が見いだされた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2014
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