分析化学
Print ISSN : 0525-1931
年間特集「生」:総合論文
赤外分光「その場」解析法によるバイオ計測
庭野 道夫平野 愛弓
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2015 年 64 巻 11 号 p. 793-800

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抄録

著者らは赤外分光法(IRAS)を用いてSi半導体表面・界面反応を調べている.分析の表面感度を上げるために用いた手段が多重内部反射(MIR)法である.この方法では,Si結晶中を赤外線が多数回内部反射させるため,内部反射回数を数十回,数百回と大きくでき,高感度計測が可能である.また,Si結晶の内側から表面を観察するために,様々な外部環境下でSi表面上または表面付近の様々な反応を「その場(in-situ)」で解析できる.本稿では,このMIR-IRAS法の特徴を活かして行った,非標識バイオ計測の応用例を紹介する.この方法では,赤外吸収スペクトルの分析から生体分子間相互作用による構造変化を精度よく検知できるため,DNA,タンパクなどの様々な生体分子間相互作用や細胞の動的過程を非標識でその場観察できる.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2015
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