分析化学
Print ISSN : 0525-1931
報文
炭素・窒素安定同位体比分析による原木栽培及び菌床栽培乾シイタケの産地間比較
鈴木 彌生子中下 留美子Noemia Kazue ISHIKAWA田淵 諒子作野 えみ時本 景亮
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 64 巻 12 号 p. 859-866

詳細
抄録

原木栽培及び菌床栽培の乾シイタケについて,炭素・窒素安定同位体比(δ13C,δ15N)を用いて,栽培方法及び産地判別の可能性を検証した.原木栽培乾シイタケは,国産は中国産よりもδ13Cは低く,δ15Nは高い傾向が得られ,韓国産は国産と中国産の中間的な値を示した.菌床栽培乾シイタケは,国産は中国産よりもδ13C,δ15Nが高い傾向を示した.ブラジル産については,原木栽培品・菌床栽培品ともにほかの地域よりもδ15Nが高い特徴が得られた.国産・中国産の乾シイタケについて,炭素・窒素安定同位体比分析を行い,産地判別の可能性を検証した結果,原木栽培の正答率は,国産87.4%,中国産87.9%,菌床栽培の判別率は,国産90.0%,中国産93.9% となった.以上より,原木栽培及び菌床栽培の乾シイタケのδ13C,δ15Nは,栽培方法及び産地によって特徴的な分布を示し,中国産と国産については産地判別の可能性が示唆された.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry 2015
次の記事
feedback
Top