2015 年 64 巻 12 号 p. 859-866
原木栽培及び菌床栽培の乾シイタケについて,炭素・窒素安定同位体比(δ13C,δ15N)を用いて,栽培方法及び産地判別の可能性を検証した.原木栽培乾シイタケは,国産は中国産よりもδ13Cは低く,δ15Nは高い傾向が得られ,韓国産は国産と中国産の中間的な値を示した.菌床栽培乾シイタケは,国産は中国産よりもδ13C,δ15Nが高い傾向を示した.ブラジル産については,原木栽培品・菌床栽培品ともにほかの地域よりもδ15Nが高い特徴が得られた.国産・中国産の乾シイタケについて,炭素・窒素安定同位体比分析を行い,産地判別の可能性を検証した結果,原木栽培の正答率は,国産87.4%,中国産87.9%,菌床栽培の判別率は,国産90.0%,中国産93.9% となった.以上より,原木栽培及び菌床栽培の乾シイタケのδ13C,δ15Nは,栽培方法及び産地によって特徴的な分布を示し,中国産と国産については産地判別の可能性が示唆された.