抄録
食品とは,本来,生命活動に必要な栄養素を得るためのものであったが,近年,食生活の欧米化などライフスタイルの変化から,食品が肥満や高血圧,糖尿病などの生活習慣病の発症要因となっている.食生活の改善が第一であるが,生活習慣病の予防を目的として食品が元来保有する機能性(第三次機能)を利用した「機能性食品」の開発が精力的に行われている.これらの食品開発では,機能・安全性・品質のすべて項目において,科学的根拠が求められており,したがって,分析化学が非常に多用されている.たとえば,機能評価において,非常に多くの成分が混在する食品中から機能成分を特定し,有効量を決定することが必須であるため,種々の分離精製技術や高感度な分離検出技術が課題解決に多大な貢献をしている.本稿では,機能性食品制度と機能性食品に含有される機能成分の分析の現状として,紫サツマイモアントシアニンを事例に取り上げて,紹介したい.