2023 年 56 巻 2 号 p. 55-67
コロナ禍で未就学児への虐待対応件数が増加している。この問題の予防策として,オンラインを用いた子育て相談(オンライン子育て相談)と対面式子育て相談(対面相談)を併用する新たな子育て相談体制を構築した。2020年度~2021年度の2年間,幼稚園にて実践した。第一の目的は,対面相談とオンライン子育て相談の方法の違いによって利用件数,相談内容に違いがあるか否かを検討することであった。2年間全体,および,2020年度と2021年度ともに,園全体で,オンライン子育て相談よりも対面相談の利用が有意に多い傾向が確認された。相談内容に関しては,2年間を通じて,相談方法にかかわらず,子どもの性格・情緒に関する相談が多かった。第二の目的は,オンライン子育て相談の利用者4名を対象にアンケート調査を実施し評価を収集し,オンライン子育ての機能と課題を明らかにすることであった。その結果,オンライン子育て相談を利用した全員が「話しやすかった」「今後もまた使いたい」と肯定的に評価していた。本研究の課題として,1園における実践であること,オンライン子育て相談の方法に課題が残されていることと,その改善のための工夫が考察された。