2017 年 66 巻 12 号 p. 901-907
フォトンカウンティングを用いたラボレベルでの全視野型蛍光X線イメージング装置を試作し,その性能を確認した.エネルギー分解能は142 eV @ Fe Kα,空間分解能は有効ピクセルサイズが2 binのとき52 μm @ Fe Kαとなり,それぞれエネルギー分散型検出器,微小部蛍光X線分析装置と同程度の性能を示した.また,プリント基板試料に対して多元素同時イメージングが可能であることを示した.全視野型XRFイメージング法はいまだに定量法が確立されていないが,Ni標準試料を用いた補正式をXRF強度に適応することでNiの定量化を検討した.X線CCDカメラの各ピクセルの強度から検量線を作成してR2値を評価したところ,その精度は良好だった.統合的な一つの検量線を全ピクセルに適応させることができ,本手法により全視野型蛍光X線イメージング装置において定量イメージングが可能であることが確認できた.