分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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モリブデン青の膜捕集を利用するリンの高感度なオンサイト反射吸光光度定量
長谷川 裕弥鈴木 保任川久保 進
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2017 年 66 巻 9 号 p. 687-692

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抄録

モリブデン青(MB)の膜捕集を利用するリンの高感度な現場反射吸光光度定量法を開発した.リン酸態のリンをMBとして孔径0.45 μmのセルロース混合エステル膜フィルターに捕集した.赤色発光ダイオード(630 nm)を光源にした小型反射型比色計を作製し,フィルター上のMBの反射吸光度(RA)を測定した.ビスマス(III) を加えてMBの生成を速くすることによって,反応温度10~40℃,反応時間10分間でMBを生成できた.MBの溶液にテトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド二水和物溶液を加えてMBを凝集させた.携帯用ドライヤーでフィルターを乾かしたのちRAを測定した.0~0.1 μgの範囲でRA値はリン量に比例した.リンの検出限界は0.003 μg(0.001 μg mL−1)であった.ヒ素(V) の妨害はチオ硫酸ナトリウムでヒ素(V) をヒ素(III) に還元することによって除いた.ヒ素(V) の許容量は0.4 μgであった.本法を河川水,湧水及び水道水の分析に応用した.分析時間は20分であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2017
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