分析化学
Print ISSN : 0525-1931
年間特集「粒」: 総合論文
静的及び動的光散乱法による液中微粒子計測
高橋 かより
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 68 巻 10 号 p. 733-742

詳細
抄録

液中に分散しているナノ領域の微粒子に対してレーザー光を照射し,その散乱光強度の時間平均を求める静的光散乱法,ならびに,散乱光の時間相関から粒子の運動速度を求める動的光散乱法を使用して,微粒子の粒径をはじめとする諸物性を高精度に計測する手法についてまとめる.静的光散乱法では,散乱光の角度依存性から粒子の回転半径が求められ,動的光散乱法では,ブラウン運動の拡散係数から粒子の流体力学的半径を求めることができる.回転半径と流体力学的半径は異なる計測量であり,粒径に分布がある場合には双方に固有の平均粒径値が算出される.本論文では,具体的な測定対象として,水中に分散したポリスチレンラテックス粒子とファインバブルを取り上げる.ラテックス粒子は表面電荷を有するために,純水中では長距離的な相互作用が観測される.また,ファインバブルでは,そのサイズとともに濃度を知ることが求められており,静的及び動的光散乱計測により,これらを同時に計測する技法について述べる.

著者関連情報
© 2019 The Japan Society for Analytical Chemistry
次の記事
feedback
Top