分析化学
Print ISSN : 0525-1931
報文(若手初論文)
ABS樹脂上に無電解めっきしたNi薄膜の密着強度影響因子の定量評価
八木 祐介天野 久美光岡 拓哉加藤 雄一
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2019 年 68 巻 5 号 p. 307-314

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抄録

アクリロニトリル─ブタジエン─スチレン共重合体(ABS樹脂)/無電解NiめっきにおけるABS樹脂のエッチング処理が密着強度に影響を及ぼす因子の定量評価法を検討した.ABS樹脂をエッチング液(CrO3/H2SO4溶液)に浸漬する時間を変えた際のABS樹脂表面を走査型電子顕微鏡,走査型プローブ顕微鏡(SPM),赤外分光法(IR),リアルタイム直接質量分析法により分析し,密着強度と比較した.その結果,物理的因子の表面凹凸形成による界面の密着力向上はSPMによる表面積増加率で,化学的因子の酸化劣化による母材強度低下はGe結晶を用いたIR分析によるスチレン基に対する酸化官能基量(C=O/Ph (Ge))で指標化できることが分かった.また両因子の寄与は,重回帰分析により定式化(y=−0.022x1+48.99x2,補正R2=0.67,y: 予測密着強度,x1: 表面積増加率,x2: C=O/Ph (Ge))できることを見いだした.本手法はABS樹脂/無電解Niめっきの密着強度を予測するための簡易的な定量法になりうると考える.

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© 2019 The Japan Society for Analytical Chemistry
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