分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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順相LC/MS/MSによる環境水中のレボフロキサシンと(R)-オフロキサシンの分離定量
折原 智明
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2020 年 69 巻 3 号 p. 105-113

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抄録

本研究では,逆相LCでは分離が困難なエナンチオマーであるレボフロキサシン((S)-オフロキサシン)と(R)-オフロキサシンを対象として,順相LC-MS/MSを用い分離・測定する方法について検討を行った.移動相をt-ブチルメチルエーテル/エタノール/酢酸/エチレンジアミン(30 : 70 : 0.2 : 0.2, v/v/v/v),カラムをphenomenex製Lux i-Cellulose-5(150 × 2.0 mm i.d., 3 μm)とした条件で2物質を分離することができた.検量線はレボフロキサシンと(R)-オフロキサシンともに0.10〜100 ng mL−1の範囲で良好な直線性を示し,機器検出下限はレボフロキサシン: 0.22 ng L−1,(R)-オフロキサシン: 0.33 ng L−1であった.水質試料からポリマー系逆相固相カラムで抽出し,イオン交換逆相ミックス固相カラムで精製した抽出液に本法を適用した結果,下水処理水からレボフロキサシン420 ng L−1,(R)-オフロキサシン1.7 ng L−1を検出し,環境水試料測定に適用できる高感度エナンチオ分別定量を可能とした.

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© 2020 The Japan Society for Analytical Chemistry
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