分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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親水性相互作用カラムを用いる8-aminopyrene-1,3,6-trisulfonic acid標識化糖鎖のHPLC分離と分取条件の検討
山本 佐知雄宮脇 直久川上 夏海木下 充弘鈴木 茂生
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2022 年 71 巻 6 号 p. 333-339

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抄録

8-Aminopyrene-1,3,6-trisulfonic acid(APTS)は三つのスルホン酸基を有している蛍光試薬であり,その高い電気泳動移動度を利用することでAPTS標識化糖鎖がキャピラリー電気泳動(CE)で分析されている.しかしながらCE単独で糖鎖の構造解析を達成することは困難である.またAPTSは親水性が非常に高いため,一般的な逆相クロマトグラフィーや親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)で分離が困難であった.そこで著者らは,官能基にテトラゾール基を有するポリマーが結合したDCpak PTZカラムの試作品を使用してHILICモードを利用したAPTS標識化糖鎖の分離方法を開発した.しかしながら開発した方法では再現性,構造の類似した糖鎖の分離能が低く,溶出時間も1時間程度を要した.特にシアル酸含有糖鎖においては,成分ごとの分離がほとんどできなかった.そこで本研究では市販のDCpak PTZカラムを利用し,糖鎖の分離方法を再検討した.また,DCpak PTZカラムで分離した糖鎖に関して分取,脱塩した試料をCEの試料に添加してがん細胞のピークの同定を行った.

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© 2022 The Japan Society for Analytical Chemistry
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