セルロイドの耐候性の基礎研究として,キセノンランプ照射及び紫外線照射を行ったセルロイドシートの,TG測定及びATR法によるFT-IR測定を行い,結果を酢酸セルロースシートと比較した.セルロイドでは熱分解開始温度の低下が,酢酸セルロースでは上昇が観測された.熱分解開始温度及び表面のIRスペクトルから試料表面の劣化が,DTGのピーク温度から試料内部の劣化の情報が得られた.結果を保管されていた実試料に応用した.各セルロイド実試料は主に光によって劣化し,その程度は厚さ0.2 mmのシートに8時間キセノンランプ照射した際の変化と同程度と考えられた.測定条件を工夫することでTG/DTA測定も,セルロイド試料に関しても有効な測定手法であることが確認できた.