分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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ウレアーゼ固定化植物由来バイオマスの特性とホルムアルデヒドの間接定量への応用
宮内 俊幸井垣 侑生三浦 航輝爾見 優子
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2023 年 72 巻 10.11 号 p. 449-454

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抄録

固定化ウレアーゼを用いたホルムアルデヒドの間接定量を行った.すなわち,尿素とホルムアルデヒドとの反応で,未反応の尿素を固定化ウレアーゼでアンモニアに変換し,生成アンモニアをICで測定した.固定化ウレアーゼは,ポリアミンを導入した木質系及び草本系バイオマスにウレアーゼを吸着させて調製した.固定化ウレアーゼの活性は,スギ(53.8 U mg−1)>イネ(40.4 U mg−1)>ケナフ(34.0 U mg−1)>ブナ(11.5 U mg−1)の順となった.そこで,一定量の尿素に所定量のホルムアルデヒドを加え,塩酸酸性下で時折振り混ぜながら静置した.未反応の尿素を固定化ウレアーゼ充填カラム付きIC-FIAシステムへ展開し,尿素由来のアンモニアを測定した.ホルムアルデヒドが1.0〜5.0 mgの範囲で良好な直線性(r=0.9968)を示し,ホルムアルデヒドの定量が可能だった.また,共存物質の影響は,アセトアルデヒドの影響は受けるがそれ以外のアルデヒドの妨害は受けることなく定量可能であった.

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© 2023 The Japan Society for Analytical Chemistry
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