分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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単一レクチン種を用いるサンドイッチEnzyme-Linked Lectin Assayによる高分子多糖類の新規定量技術の開発
大島 俊文中山 魁髙林 久美子岩木 実里宇部 那菜中島 章裕
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2023 年 72 巻 4.5 号 p. 167-173

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抄録

レクチンで高分子多糖類をサンドイッチするEnzyme-Linked Lectin Assay(ELLA)により,高分子多糖類の新規定量技術を開発した.本法は,96ウェルマイクロプレートに固相化したレクチンと高分子多糖類を反応させたのち,酵素標識レクチンを反応させ,酵素反応により比色する特異性の高い方法である.本法により,グアーガムが0.1〜3 μg mL−1の範囲で,Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1(R-1)株由来菌体外多糖(EPS)が0.2~1 μg mL−1の範囲で検出可能であった.除タンパク質処理したR-1株培養液のEPSの定量においては,添加回収率は97〜99% であり,分析精度は併行精度6.2%,室内再現精度6.8% であった.以上の結果から,本法によるEPS定量法は良好な分析能を示すことが確認され,さらに優れた操作性を持つことから,種々の高分子多糖類の定量への応用が期待される.

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© 2023 The Japan Society for Analytical Chemistry
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