分析化学
Print ISSN : 0525-1931
報文
酸化グラフェン被覆膜を利用する金蒸着ガラス棒SPRセンサーによるカフェインの高感度検出
満塩 勝吉留 俊史
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 73 巻 1.2 号 p. 23-29

詳細
抄録

側面に金を蒸着した直径2 mmの石英ガラス棒によるシンプルな構造を持ったSPRセンサーにおいて,その表面を酸化グラフェン層で被覆したセンサーの応答特性について研究を行った.エタノール水溶液による評価では無修飾よりも少し感度が向上する結果が得られた.これに対しカフェイン水溶液については大幅に感度が向上し,無修飾のセンサーでは測定が不可能な低濃度のカフェイン水溶液の測定に成功した.また,被覆回数と増感の間には最適値が存在し,本研究の条件では5 mg mL−1の酸化グラフェン水分散液による5回の浸漬と乾燥を繰り返した被覆膜において最もよい感度を示すことが分かった.本研究により,酸化グラフェンを被覆したガラス棒SPRセンサーはカフェインに対して高い感度を示し,食品分析にも応用できる新しいセンサーとしての可能性を示唆することができた.

著者関連情報
© 2024 The Japan Society for Analytical Chemistry
前の記事 次の記事
feedback
Top