2024 年 73 巻 10.11 号 p. 593-603
先端技術開発が進むにつれて,SEM-EDSのように微小な領域の分析と非破壊で分析ができる装置が求められてきた.X線の集光は困難であったが,1985年頃X線導管技術の発明により微小領域の分析が可能になってきた.この技術を用いて㈱堀場製作所では,1990年代にX線導管を用いた卓上型X線分析顕微鏡を世界に先駆けて製品化し,2024年に上市30年目を迎える.空間分解能10 μmのX線導管を用いた本分析装置は研究機関及び企業に導入され,基盤研究,材料・製品開発,品質保証評価など多様な分野で今も広く使用されている.近年では宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルの初期分析に利用されるなど宇宙物質の解明のために使用されている.ここではX線分析顕微鏡の開発とその応用研究について紹介する.