2024 年 73 巻 10.11 号 p. 579-591
化学種変換ユニットとしてフロー電気化学セルを用いたオンライン酸化還元化学種変換クロマトグラフィー(ORDC)を用いて,ジヒドロキシベンゼンの異性体であるヒドロキノン(HQ),カテコール(CC),レゾルシノール(RC)及びp-ベンゾキノン(p-BQ)の分析を行った.ORDCシステムは,二つの分離カラムの間に化学種変換ユニットを組み込んだHPLCシステムである.化学種変換ユニットにフロー電気化学セルを用いているため,印加電位を制御することで目的物質を選択的に化学種変換できる.また,化学種が変換すると分離カラム内を移動する速度が変化し,二つの分離カラムの長さを調整することで保持の制御が可能となる.HQ,CC,p-BQは,それぞれ所定の電位を印加したフロー電気化学セル内で酸化還元対となる化学種に変換できることを明らかにし,その結果に基づいて,ORDCシステムを用いたHQ,CC,RC及びp-BQの選択的分離に成功した.また,本法を市販のHQ試薬の分析に適用し,分離カラムの長さを調整することで多量のHQ中に存在する微量のp-BQを分離定量できることを明らかにした.