抄録
酢酸ビニル中のアセトアルデヒドおよびアセトンを,個々に定量する必要があるためこの実験をおこなった.従来用いられてきた塩酸ヒドロキシルアミン法によるアセトアルデヒドの分析は,試料にアセトンが含まれていると,この全量がアセトアルデヒドとともに反応して,得られる分析値は正しくないにとを明らかにした.
紫外吸収スペクトルでこれを分析するには,適当な2ヵ所の波長の吸光度から連立方程式を解けばよく,分析精度は,含量0.05%程度で,いずれも±5%あるいはそれ以下である.定量の限度は約0.002%である.酢酸ビニルのみならず,他のエステル中に含まれる場合も同じ方法,同程度の精度で定量できる.他の機器分析法と比較しても,この分析法は簡単迅速におこなえるから,工程管理分析法として有用である.