分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ボイラ水中の極微量鉄の迅速光度定量
痕跡金属の吸光光度定量法に関する研究(第3報)
中島 史登酒井 馨
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1962 年 11 巻 1 号 p. 73-77

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抄録
2,4,6-トリピリジル-sec-トリアジンを用いて,最新の火力発電プラントのボイラ水中の微量鉄を簡便迅速に定量する方法を研究した.
本試薬と第一鉄イオンとは深青色の水溶牲錯化合物を生成し,波長595mμに最大吸収を示し,その分子吸光係数は22,500である.この呈色を用いてppb程度の鉄を定量する場合, pH3.8~5の範囲ではほぼ一定の吸光度をあたえ長時間安定である.また鉄の濃度範囲5~100ppbにわたり吸光度はベールの法則にしたがう.Cu2+,Co2+,Ni2+,CN-,シュウ酸などは妨害するが,ボイラ水中にはたとえ含まれていても妨害量以下であるから,本定量法はボイラ水に直接適用可能である.
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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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