1962 年 11 巻 13 号 p. 136R-142R
裁判化学は司法裁判に関係ある事件の解決に応用される分析化学の一分野であって,鑑識化学ともいわれ,分析の対象,目的はきわめて多岐にわたっているが,その中で最も重要でしばしば扱うのは,生体試料中の薬毒物の分析である.今回は1957年までを記載した前回の総説に引き続き,1958~61年の間に発表された裁判化学関係の文献のうちから薬毒物の分析法に重点をおいて最近の進歩をふりかえってみることにする.なお,薬品分析,農薬分析,機器分析などの関連項目と重複する報告は特に重要と思われるもの以外は集録しなかったので,それらの項目も参照されたい.