1962 年 11 巻 4 号 p. 420-425
金属ウラン中の90γないし500γの微量炭素の定量法を研究し,分析時間8分以内で定量できる方法を開発した.精度は93,484γの炭素量に対しそれぞれ2.2γおよび7.4γと良好であり,しかも定量操作には熟練を全く必要としない.また試料は金属ウランのみならず,金属チタン,鉄鋼などにも応用できる方法である.すなわち,試料を精製酸素気流中で強く熱して燃焼せしめ,全炭素を完全に酸化きせて炭酸ガスとし,これをN/1200水酸化バリウム溶液100mlに吸収させて,その濃度変化をコンデンサー負荷投入型の高周波発振装置によって検出し,あらかじめ作成した検量線より炭素を定量した.吸収セルの構造は堅ろうで簡単であり,生成した炭酸ガスの吸収状況は即時にメーターにあらわれるので微量炭素の定量がきわめて迅速簡便になった.本法は炉前分析にも現場分析にもただちに応用できる.
試料量は通常1g以下の少量で足りる.