分析化学
Print ISSN : 0525-1931
高感度ポーラログラフの再現性をよくするための一つの試み
田島 信雄寺田 弘明黒部 森司
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1962 年 11 巻 4 号 p. 453-454

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抄録

高感度ポーラログラフはその高感度であること,多少の例外をのぞいて共存元素の影響をうけないこと,波高の測定が容易であること,同時に2~3種の目的物の定量が行なえることなどすぐれた性能をそなえている.
しかし,一方装置の安定性が悪く測定結果の再現性が悪い点がこの装置の実用化を害しているものと思われる.著者も本装置を使用するにあたって再現性の点について種々苦労し,温度を変えることによって装置の感度を変え再現性をうることを試みたり,分光分析における内部標準法のように被測定物になるべく接近して山を与えるような復極剤の一定量を加えその波高の大小よりその時の装置の感度を知り,この標準物と被測定物の比によって検量線を描く方法を行なってみたりした.この方法も比較的よい結果を与えたが,被測定物の波高測定と標準物の波高測定との間に多少とも時間のずれがあるので,この間に外部電源の状態に変化のあるようなときにはその比は大きく変化し,測定結果は普通の測定よりもかえって悪くなる欠点があり,あまりよい方法とはいえなかった.
そののち著者は種々検討した結果記録計感度を連続可変にし,標準固定抵抗による記録計の"ふれ"を補正することによって比較的よい再現性が得られるのを知り,今日に至るまでその方法を利用している.以下にその方法をのべる.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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