分析化学
Print ISSN : 0525-1931
酢酸エチルならびにTTA-キシレン抽出法によるジルコニウムの分離
太秦 康光林 謙次郎伊藤 三郎
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1963 年 12 巻 3 号 p. 252-256

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抄録
微量のジルコニウムを比色定量する際には共存する諸イオンが強い影響を与えるので,これらの諸イオンからジルコニウムを分離することが望ましい.この目的のために2種類の溶媒抽出法を併用する方法を研究した.
6N塩酸溶液から多量の鉄,クロム,モリブデン,スズを酢酸エチルで抽出除去し,さらに0.5M-TTA-キシレン溶液により多量のアルミニウム,バナジウムからジルコニウムを抽出分離することができる.なおこの際,チタン(IV)はジルコニウムと類似の行動を取るが過酸化水素の添加により分離することができる.フッ素イオンの共存はジルコニウムの抽出率を著しく減少させるが,アルミニウムの添加により,その影響を除きえた.その際の塩酸最適濃度も調べた.TTA溶液相からの逆抽出液をそのまま比色定量に供しうる逆抽出法も考案した.本法に従い,種々のイオンの共存下で微量のジルコニウムの分離を試み満足すべき結果が得られた.
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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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