合金のエレクトログラムを顕色後,分光光電光度計にかけ,合金成分を事実上非破壊的に,かつ迅速に定量することが目的である.
方法は支持電解質溶液を含むロ紙上に鉄合金およびマンガン合金のエレクトログラムをつくったのち特定成分を発色させ,特定波長における吸光度をロ紙を対照として測定し,合金成分を光度定量する.この場合,均一なエレクトログラムをつくることと,安定な呈色条件を見いだすことがもっとも重要な因子である.このため,支持電解質溶液および電解時間,発色試薬などの検討を行ない,最適条件を探した.
一般に純金属をもちいて,一定条件下でエレクトログラムを顕色し,特定波長の吸光度を測定すれば,溶出量と吸光度の間には直線性がみられる.鉄合金中の鉄定量には,ゼラチンを含む1
M硝酸ナトリウム,マンガン合金中のマンガンの定量には1
M炭酸ナトリウムを支持電解質溶液とし,東洋ロ紙No.50を用い,圧力0.34kg/cm
2をかけ,電流10mAで鉄合金30秒,マンガン合金60秒間電解したのち,それぞれ黄血塩,ベンジジンによって発色させて吸光度を測定すれば,きわめて迅速(約15分)にそれぞれの合金の主成分である鉄,マンガンをかなりの精度(標準偏差Fe3.3%,Mn1.8%)で定量することができる.
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