分析化学
Print ISSN : 0525-1931
硝酸トリウムによるリン銅地金,リン銅ロウ中のリンの迅速定量方法
古矢 元佑田尻 和稔
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1963 年 12 巻 3 号 p. 288-293

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抄録

硝酸トリウムを用い,EDTA間接滴定法によりリンを迅速に定量する方法について研究した.すなわち試料を硝塩混酸に溶解し,その溶液(0.1~0.3N)にチオ尿素を加えて銅をいんぺいし,酢酸アンモニウムでpHを2.5~3.0にして硝酸トリウム溶液を加え,30~50℃に約5分間保持してリン酸塩の沈殿を生成させ,乾燥ロ紙でロ過し,ロ液の一部を分取して,過剰のトリウムイオンを,キシレノールオレンジを指示薬としてEDTA溶液で滴定し,リンを定量した.そのときの生成条件,滴定条件,共存元素の影響などの検討,合成試料の分析結果,JIS法による結果との比較などから,本方法はリン銅地金(P>9.5%),リン銅ロウ(P4~7%)中のリンの迅速定量方法として満足できることを認めた.本方法の分析誤差はリン1~22mgで2~1%,分析所要時間は約25分であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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