抄録
モナズ石の中のトリウムを迅速に定量するためにケイ光X線法を試み,内部標準としてストロンチウムを用いる添加法が適当であることを認めた.すなわち,モナズ石(マラヤ,台湾,インドネシアおよび韓国産の4種)500mgに炭酸ストロンチウム50mgと一定量の酸化トリウム(0,30,60mg)とを加え,硫酸水素カリウム5gを用いて融解し微粉砕した.このようにして各試料につきトリウム含有率の異なった3種の測定用粉末を準備し,これらのThLα 1-1とSrKα 1-1との強度を測定し,理論式を適用して定量値を求めたところ,化学分析値に近い結果が得られた.SrKα 1-1の強度を考慮に入れない場合にはやや過大な値が得られた.
なお実験に供したモナズ石に関するかぎりでは,試料自体のThLα 1-1およびγ線の強度は,上記の内部標準-添加法によって得た定量値とほぼ比例関係にあった.