分析化学
Print ISSN : 0525-1931
原子吸光分析法の感度増大について
池田 重良厚谷 郁夫中島 篤之助
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1964 年 13 巻 11 号 p. 1147-1151

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抄録

討論はきわめて活発で1時間におよんだが,まず,原子吸光分析法の現状での感度が大して満足すべきものではなく,干渉現象も炎光法の場合と変わらず,従来の炎光法に比較してすぐれた点はないではないかという疑問が提出された.このことは,炎を用いるかぎり炎光法も原子吸光法も同一物理化学的過程に支配されていること.したがって原子吸光法の進歩のためには,本講演でもその一端が述べられているように,原子化過程の研究が重要であること.すなわち,炎以外の原子化手段を開発することや,炎に導入する以前の溶液内での被験元素の存在状態に留意することなどが重要なのではないか.根本的には,元素の高温での気化励起過程をもっと体系的に研究すべきではないか,といったような討論に発展した.原子吸光法の研究の発展が,従来の炎光法の再評価と再認識を促しつつあるという意味で興味ある討論であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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