1965 年 14 巻 12 号 p. 1137-1140
純鉄中の極微量クロムの定量には,従来のジフェニルカルバジット吸光光度法では感度が不足であったので,新たに溶媒抽出後吸光度をはかる方法を検討した.試料を酸で分解し,メチルイソブチルケトン(以下MIBK と略記)+酢酸アミル抽出して鉄を除き,クロムを6価とし,ジフェニルカルバジットを加えて呈色させたのち,5N硫酸酸性とし塩析剤を加え,イソアミルアルコールでクロム錯体を抽出して波長543mμ 付近における吸光度をはかる方法で,0.05~5μgのクロムを約1時間で定量できた.鉄鋼中に普通に含まれる20元素は10倍量が共存しても,その影響は無視できた.