15Nをラベルした窒素を外部より導入する同位体希釈法をN.B.S.鉄鋼標準試料1044,不しゅう鋼347中の窒素の定量に適用し,これと同一条件における真空融解法の結果と比較した.これより両法の間には差はなく,本実験条件において融解炉内における窒素のガス吸収による影響は無視することができた.また,分析終了後るつぼ中の試料から徐々に抽出される微量のガス中の窒素同位体濃度が天然のそれに近い点,N.B..S.鉄鋼標準試料1044の同位体希釈法による結果がケルダール値よりも低い点,試料のるつぼへの投入回数が増すにつれて低値が得られる点など,るつぼ中に残存する窒素に対して補正をなさず,本法によりガス吸収による効果のみを特性的に補正することが可能であることがわかった.