抄録
最近は各種の機器分析法が発達普及し,それらによる定性,定量分析が有機分析および医薬品分析の主流となってきている.最近わが国で発行された有機分析に関する書物もそうした観点から編集されている.また各国の薬局方もしだいに機器分析が取り入れられ,従来の呈色反応や誘導体による確認法は減少していく傾向がみられる.このような情勢のなかで点滴分析法をどう評価し,どのような方向へ進めるべきであろうか.Feiglは薬局方の確認試験法へ(1)検体および試薬量が微量で,かつ従来のマクロ法より簡易であることと,(2)局方に確認試験法のないものについて試験法を定めることの2点から無機,有機の点滴分析法を導入することを提唱している.医薬品分析への点滴分析法の応用の問題点は(有機点滴分析法と共通のことであるが)(1)反応の感度,選択性の向上,(2)類縁薬品間での区別(特異性)および混合製剤の成分の確認,(3)定量化,および(4)医薬品点滴分析法の系統化の4点であろう.有機点滴分析に関する研究は多く,また医薬品分析に関するものも数多く報告されている.それらはいずれも医薬品の点滴分析法として利用できるであろう.ここでは最近の研究例をあげ,上記の観点からまとめてみることにする.