1967 年 16 巻 10 号 p. 1067-1070
2,6-キシレノールはテトラシアノエチレン(TCNE)と520mμに吸収極大を持つπ錯体をつくり,その組成を連続変化法で調べると1:1錯体であった.このπ錯体の生成反応を2,6-キシレノールの定量分析に応用するため純TCNEの酢酸エチル溶液を標準として2,6-キシレノールの溶液に加えて光度滴定によって反応の終点を決定した.その結果計算値と光度滴定によって求めた実側値はきわめてよく一致し,この方法が2,6-キシレノールの定量法として利用できることを認めた.また別にこのπ錯体生成の平衡定数を求めると25℃で0.58(l,mol-1)という値が得られた.