1970 年 19 巻 2 号 p. 216-220
亜鉛はオキシンと反応して黄色の安定な錯体を生成し,この錯体は融解したナフタレンによって抽出される.著者らはこの抽出液を常温まで放冷したのち得られる固状物質をエチルアルコールに溶かすと,吸光光度法により微量の亜鉛が定量できることを見いだし,これについて種々検討した.その結果,定量の最適条件は測定波長385mμ,ナフタレンの添加量1.5g,1%オキシン溶液添加量1ml,溶液のpH5.5~10.5であることを知った.なお,33~360μgまでの亜鉛量についてはベールの法則がなりたち,モル吸光係数は4.6×103であった。さらに定量に及ぼす共存イオンの影響について調べた結果,鉄(II),鉄(III),アルミニウム(III),ニッケル(II),水銀(II),マンガン(II),銅(II),EDTAなどの妨害作用が認められた.アルミニウム(III)はフッ化アンモニウムの添加でマスクされる.鉄(III),銅(II)はpH4.0でオキシン-ベンゼンなどで抽出除去できる.