ワクチン,トキソイドの中にアジュバントとして含まれるアルミニウムの検定は厚生省生物学的製剤基準によると,アルミノン法を用いて定量するように規定されている.
著者らはスチルバゾ法をワクチン中のアルミニウムの定量に応用し,操作が簡単で再現性がよいことを知った.本法はpH5.6~5.7で最適の発色を示し,5~30分間に530mμでスチルバゾ-アルミニウムキレートとして定量することに基づく.なお,スチルバゾ第1法と第2法とを考案し,第1法は精密測定に,第2法は日常分析に適するようにした.
麻しんワクチン,破傷風トキソイドについてスチルバゾ第1法,スチルバゾ第2法,アルミノン法,およびオキシンによる重量法を平行して比較実験した.
スチルバゾ法はアルミニウム0~0.8μg/m
lの範囲で定量可能であるが,アルミノン法は低濃度と高濃度の側で測定値が一定せず,わずかなpHの差によって吸光度が変化しやすい.
スチルバゾ第1法,第2法,アルミノン法の標準偏差パーセントは不活性化麻しんワクチン(リン酸アルミニウム)では0.8(10回),2.6(20回),4.6(11回)で,また不活性化麻しんワクチン(アルミニウム)では0.8(10回),2.3(15回),3.1(9回)であってスチルバゾ法がすぐれている(Table II).
また,アルミニウムを含まない破傷風トキソイド,ジフテリヤトキソイドおよび麻しんワクチンに一定量のアルミニウムを加えてスチルバゾ法で実験した場合の回収率は94~99%であった.
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