分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ウランおよびジルコニウム中の希土類元素の定量
X線励起ルミネッセンス法による希土類元素の分析(第1報)
中島 篤之助大内 義彦河口 広司高島 教一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1970 年 19 巻 9 号 p. 1183-1190

詳細
抄録

ウランおよびジルコニウム中のガドリニウム,ジスプロシウム,ユーロピウムおよびサマリウムの迅速な定量法について述べる. X線励起ルミネッセンス法は,高エネルギーX線により適当なマトリックス中の希土類元素不純物を励起させる方法で,励起された希土類元素不純物は簡単な線状けい光スペクトルを生じ,このスペクトルを定量測定に用いることができる.
希土類元素は大量のジルコニウムおよびウランから,酸性溶液中で,トリウムを担体としてNH4F・ThF4として共沈分離する.分離されたトリウムを精製し,酸化トリウムに変換する.このとき希土類元素回収の"めやす"としてテルビウムを添加しておく.この酸化ウムをX線で照射し,発光するけい光スペクトルを用いて希土類元素を定量する.添加されたテルビウムはまた,けい光強度測定のときの内標準としても用いられる.検出限界は,ガドリニウムおよびユーロピウムに対しては5ppb,ジスプロシウムおよびサマリウムに対しては20ppbと推定される.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry
前の記事 次の記事
feedback
Top